▼【柿茶本舗ブログ】

柿と柿渋と柿茶について

柿について

1.学名:Diospyros kaki. L.
他にカキ属にアメリカガキ(Persimmon)、マメガキがあり、成熟すると食用可能。


2.
中国の原産、古く日本に渡来。弥生時代の遺跡に種が見つかっているが化石は発見されてない。
日本の風土が生育に適していたため、北海道を除く各地で植えられ、多数の品種が生じ、800-1000品種が存在した。しかし、東京・大阪などの市場に出荷される品種は少なく、各地にローカル品種がある。

香川県(東讃)で生じたのは碁盤。西讃・中讃には西条が多いが中国地方の山間部で生じた古い品種。
近年は愛宕が多くなったが、愛媛県、周桑郡に集団産地があり、豊産で栽培しやすいが脱渋しぬくい。


3.
甘柿は日本で生じた品種。果実内の渋の量が少なく、樹上で渋みが消失する。しかし、古くは渋柿が珍重された。奈良時代には干し柿がつくられていた。最も甘い食物だったし、貯蔵性があるので飢饉に備えて貯蔵した。果皮の表面の白粉(柿霜)は果糖とブドウ糖。
「里古りて柿の木持たぬ家もなし 芭蕉」。他地方に嫁つぐ時は柿の品種を持参したらしい。


4.
古く日本に来た宣教師によって海外、とくにスペイン、イタリアに伝えられた。イタリアでは多数の品種が作成された。但し、渋柿が伝えられたので、甘柿を知らない人が多い。熟柿にして食べられ、スーパーなどでも販売されている。

英語圏では、パーシモンと呼ぶが欧州ではカキで販売されている。
ブラジルにも栽培されているが、日本人の移民が行ったときには、すでにヨーロッパから伝わっていた。


5.
主要品種
■富有
岐阜県で生じた品種、渋が抜け易く品質が良い。明治35年富有と命名されて、広く栽培。香川県には約100年前に香川町に植えられ、さぬき富有の名で有名。

■太秋
農水省の育成品種。大玉で糖度が高く、香川県でも増殖。

■平核無
山形県鶴岡に原木が存在、樹齢約300年。種なしガキ、おけさ柿などの商品名で呼ばれている。渋柿なので収穫後の脱渋処理が必要。近年は奈良県天理市で発見された枝変わりの刀根早生が奈良、和歌山県などで広く栽培。

■愛宕
愛媛県周桑郡に集団産地、徳島にも多い。豊産、耐病性が大、但し、脱渋が困難。晩生で12月上旬から1月末まで販売。

6.最近、栽培が伸びているのは、イスラエル、オーストラリア、その外多くの国で栽培されているらしい。
ニュージランドは夏の涼しい年があって、富有でも渋が抜けない年があるので栽培面積は思ったほどは伸びなかった。
日本にも5月に少量ながら輸出されている。大きく伸びているのはオーストラリアの東海岸、品質が非常に良い。


柿渋について

1.渋は果実内にタンニン細胞と呼ばれる特殊細胞があって、その中で合成される。
細胞が破れて舌に触れると脱水されて脳が渋く感じると言われている。
甘柿にゴマと呼ばれるものがあるが、渋が凝固して酸化され、褐変したもの。構造は極めて複雑で高分子のポリフェノール、プロアントシアニジンのポリマー。

2.柿渋の製造法:未熟の果実を収穫して破砕・圧縮して果汁をとり、大きな樽で保存。糖が発酵して酢酸が生じ、渋を分解し、赤褐色の粘度の高い液体が得られる。酢酸が残るので異臭が強い。
発酵した酢酸が高分子のポリフェノールを分解し、比較的低分子のフラボノイドになっている。

3.柿渋は繊維と結合して強化・防水作用を持たせるのでプラスチックが発明されるまで、魚網、雨合羽、渋団扇などに使用された。タンパク質とも結合し易く、おりさげ剤として酒の製造にも使われた。

4.柿渋は高血圧の薬としても古くから使用。フラボノイドであるから極めて合理的な考えである。

 

柿茶について

1.ビタミンCを多量に含む。西 勝造先生は、これに注目して 飲用を勧められたと思われる。

2.柿の渋は果実のタンニン細胞で合成されるが、その前駆物質は柿の葉で作られる。したがって、柿茶には低分子のフラボノイド(柿茶タンニン)が多量に含まれていると考えられる。柿茶はビタミンCと柿茶タンニンの作用で、血管の老化を防ぎ、高血圧、その他の生活習慣病を予防および治療する作用があると考えられる。

3.香川県の小・中学生2万4千人の血液検査によると18%が高脂血症(血液ドロドロ)であった。この子どもは20年、今の生活習慣、とくに食生活を続けると、30歳、40歳代で脳卒中、心筋梗塞などの発作を起し、死を免れても体が不自由になる可能性が高い。また、6.4%が肝機能異常であるが、疲れて勉強・運動が出来ないし、脂肪肝、肝硬変、肝臓がんに進むであろう。柿茶は、その予防にも効果が高いと思われる。

※柿茶は柿茶本舗有限会社の登録商標です。

 

こちらの記事は、平成21年5月17日に、柿茶一筋60年 記念講演会 にて
当時香川短期大学名誉学長をされていた、故 北川博敏先生がお話しされた内容です。

著書:「カキの栽培と利用」 養賢堂 1970
「Persimmon  Culture in New Zealand」  DSIR, NZ、1987
「日本は滅ぶ=小中学生の3割が生活習慣病」美巧社 2007

 

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