▼【NPO法人健康を考えるつどいブログ】

健康常識の盲点 その2 By 豊岡倫郎氏 2021-10-29

1.無知と無関心

これは体に良いと思って実行していることが、実は逆に病気の原因になっている事がある。こんな悲劇に巻き込まれないように、日頃からいろんな健康情報に関心を以って、本質を見極める力を身に着けないと、命は一つしかないのだから。

2.健康常識の盲点

1)マーガリンは植物性の油から作られているから、体に良い。

マーガリンやショートニングは植物性の不飽和脂肪酸に水素を添加して固形にしたもので、パンを始めとして、お菓子、揚げ物、加工食品に使われている。ところがマーガリンの主成分であるトランス脂肪酸が体に害を及ぼすとして、世界的に問題となっている。既にアメリカやヨーロッパの国々では、使用禁止になったり、使用を明記することが法令化されている。日本ではなぜか知らぬが、野放し状態で、表示義務もないという。

ではマーガリンやショートニングが何故体に悪いのだろうか。トランス脂肪酸が体内に取り込まれると、細胞膜を形成して、細胞液の浸透圧が変わり、細胞内の生化学構造を狂わせる。これが血管に取り入れられると、柔軟性が失われて、心不全、心筋梗塞、動脈硬化、不整脈などの疾患が起こる。悪玉コレステロールを増やし、糖尿病、ホルモン異常、肝臓障害、ガンなどのリスクを高めると云われている。バターより体に良いと思って摂っている人が多いのではなかろうか。

現在、WHO世界保健機構は1日当たりのトランス脂肪酸の摂取量を、1日に摂取する総カロリーの1%未満にするように提言し、2023年までに世界中のすべての食べ物から人工のトランス脂肪酸を取り除くことを目標としている。

2)お茶にはカテキンが多く含まれていて、がんを予防する。

カテキンとはタンニンの一種で、抗酸化作用が有って、ガンを予防する効果があると云われている。この話の発端は埼玉県立がんセンターが1986年から11年間に、県内に住む40歳以上の男女8500人を対象に、疫学調査を行った報告にある。それによると、緑茶を一日に三杯飲む人の発ガン率を1としたら、10杯以上飲む人は0.54で、約半分だったという話。

ところがその後、東北大学医学部の坪野吉孝講師が、全く逆の論文を発表した。それによると、1984年から9年間、宮城県に住む40歳以上の男女26000人について、調べた結果、一日にお茶を一杯以内の人がガンになる率を1とすると、五杯以上飲む人は、1.2で、たくさん飲む人の方が多く発生した。

また三重大学医学部の川西正裕教授のグループは、緑茶に含まれる約40倍の濃度のカテキンを細胞に与えると、通常より1.5倍~2倍DNAが傷つくことを報告している。

これ等の事から、お茶をたくさん飲むことが、必ずしもガン予防につながるとは考えられない。

お茶が体に与える弊害は、カフェインが含まれている事によって、不眠症、不整脈、脱水症状、胃の粘膜の炎症、萎縮性胃炎、自律神経の交感神経の昂進など起こす。またお茶はアルカリ性であるので、多く飲むと胃液が酸性からアルカリ性に傾くために、ピロリ菌を増やす要因にもなり、胃がんを予防するどころか、増やすことになる。

3)コラーゲンの含まれた食品を摂ると、健康と美を守ってくれる。

コラーゲンとはタンパク質の一種で、私たちの体を構成しているタンパク質のうち、約30%を占めている。人の皮膚や靭帯、骨、軟骨、血管、角膜などの体のあらゆる組織を構成している。
コラーゲンは繊維状のタンパク質で、組織や細胞を繋ぎ合わせる接着剤のような役割があり、体の形成や機能の正常化に不可欠な成分でもある

コラーゲンは加齢と共に体内で産生される量はどんどん減ってゆくので、上述した様な体内のコラーゲンで構成された各組織が衰退して行き、疾病を招く原因ともなる。

ところがコラーゲンを食品から摂取しても、それが体内でコラーゲンとして体内にそのまま吸収されて、定着する保証は無いから、誤解のないように。コラーゲンを食べると、直ぐに肌のコラーゲンになって、シワのないきれいな肌になることはあり得ないことなのである。

大崎茂芳著「コラーゲンの話」によると、「食べたコラーゲンがそのまま体内でコラーゲンになる訳ではない。」と書かれてある。また永田和宏著「タンパク質の一生」によると、「美容や健康に効果があるとして、コラーゲン入りの健康食品などが多く販売されているけれども、食品として摂取したところで、消化器官を通じて、いったんアミノ酸に分解されるので、コラーゲンのまま吸収されることはない。せいぜいアミノ酸を体内に増やす効果はあるが、コラーゲンとして合成されることは、複雑な過程を経なければならないので、その限りではない」と。

ところで何故コラーゲンの含まれている食品を食べても、再び体内でコラーゲンが作られないのか。この件について、村田晃著「ビタミンC健康学」チクマ秀版社発行、という本によれば、

「ビタミンCはコラーゲンのプロリンとリジンの水酸化に必要とされる。またコラーゲンの立体構造の形成や遺伝子の転写を促進する働きをしている。コラーゲンの生成と維持にビタミンCが必要である。ビタミンCが欠乏すると、結合組織が弱くなり、細胞と細胞が離れやすくなり、出血、骨折、キズの治りか遅い、壊血病にもなる。皮膚であればコラーゲンの生成によって、美しい素肌が作られる。」とある。なおプロリン、リジンとはタンパク質のアミノ酸の一種。

因みにビタミンCを摂取するには、柿茶を飲むのが、一番手っ取り早い。ビタミンCの含有量も抜群に多いし、カフェインも含まれていないので、胃にやさしい飲み物である。また日頃から生野菜ジュースや果物を摂取して、ビタミンCと共に酵素の補給も欠かせない。

4)電子レンジを使って料理すると、手軽で便利である。

電子レンジで料理したものを食べる事に対して、健康を害するのではないかと、不安を抱いている人達がいる。電子レンジの仕組みを説明すると、超短波の電磁波を発生させて、それを被加熱物に照射することによって、被加熱物の水分子を振動させて、暖めるという原理である。ここで疑問視する事は、電磁波が電子レンジから外部に漏れる事による害よりも、被加熱物が果たして本来持っている食品の成分の変化や生命エネルギーの消滅を危惧しているのである。電子レンジによる料理を危険視する根拠は、細胞を変質させて、生命エネルギーのない食べ物となってしまう。栄養価、酵素、酸素などがどれだけ残っているだろうか、という問題である。また味が落ちて、美味しくなくなる。体に悪い過酸化脂質を作る。我々は食べ物から生命エネルギーを貰って、生きているのであるから、生命力のない食べ物は、細胞に活力を与えない。

2.まとめ

1) 私は今まで多くの健康に関する本を読んできたが、タンパク質に関する本ほど難解な本に遭遇したことは無い。一般の人向けに書かれているにも拘らず、出て来る専門用語や体内での広範囲な代謝や合成の精密さと複雑さを理解するのは難しい事だった。そしてタンパク質の過剰摂取は腸内で腐敗したり、窒素残留物として害を及ぼすことである。今いろいろな難病が増えているのもこの辺に原因があるような気がしてならない。

2)人工的に加工処理した食品には、生命力はない、体には異物として弊害が発生する。

3)賢く生きるには、いろんな意見に耳を傾け、「君子危うきに近寄らず」も大事である。

おわり

まずはおためし

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