健康法実施の6大原則 その基本から外れないように
2017-9-15 豊岡倫郎
1、溢れている健康情報
いまテレビ、新聞、雑誌には健康に関する放送や記事が載らない日はないくらいに、巷には健康情報が溢れている。そもそも皆さんは学校教育で習った保健科目の知識だけで、社会に出てから死ぬまで、健康的な生活を営むことができると、お考えですか。私は否だと思って、この大きな問題点に少しでも応えられたら良いとの思いから、15年以上前から毎月1回公民館で、健康問題に関心がある方たちに、健康講座を開いている。
2、なぜいま健康法実施の6大原則をとりあげたか
健康情報が溢れ、人々はあれが良い、これが良いと、健康法を実行している人も多い。また生まれつき健康で、病気をしたことのない人達は、健康問題に無関心で、それが永遠に続くと勘違いしている。でも実態は糖尿病や高血圧、心臓疾患、脳疾患、ガンなどの所謂生活習慣病の人たちで、病院へ行くと溢れかえっている。
ではその歯止め策は何かといえば、予防策しかないのである。医者の一服のさじ加減で病気が完治しないから、病人が溢れているのである。この事実を軽視してはいけない。
3、健康法実施の6大原則
病気の具体的な予防策より大事なことは健康問題に対する心構えである。今までいろんな健康情報を皆さんに発信してきたが、人それぞれの生き方や価値観、性格が異なるために、せっかくの情報も生かされてないことを長年痛感していたので、ここに改めて説明したい。
(1)原則その1・・・誰にでも適用可能な普遍性を備えている事
老若男女、即ち年齢、性別、体質など問わず、誰でも安心して実行できることである。例えば体質的に酸性体質とアルカリ性体質があるし、陽性と陰性体質、冷え症と暑がり症、肥満と痩せ型、男性と女性、若者と老人などいろいろ体の特質が異なる人でも安全で、成果があがるものでなければならない。
(2)原則その2・・・長期的に見ても支障が起きない事
一時的には効果が期待できるが、それを長期間実行すると、逆に害が出るものが多いから要注意。例えば一過性の病気ならそれでも良いが、慢性的な病気の時は、一時的に症状は軽減されても、何年も継続していると、逆に害を及ぼすものもある。
(3)原則その3・・・総合的でバランスを保つものである事
総合的であるべきとは、「群盲象を撫でる」ではいけない。また石川県が生んだ哲学者の西田幾多郎は言っている。「ただ一つの思想を知るということは、思想というものを知らないというに同じい」と。私は今まで幾多の健康法の本を読んできたが、その多くの健康法は、これさえ実行すれば、健康になると、書かれている。
しかし病気を招く原因は一つではなく、多くの場合、いくつかの要因が影響しあい発症している。日本人はとかくイエスかノーかと、決めつけたがる悪い癖がある。例えば内科の病気でも、骨格の歪みから発症しているケースがよくある。そんな時にいくら薬を飲んでも解決する筈がない。即ち病気になるのは三大原因である精神、運動、食事のいづれかに異常がある時である、しかもこの三つは総合的に繋がりを持っている。体の生命維持機能はトータルシステムとして、働いているのだから、「木を見て森を見ない」検量の狭さがあっては解決しない。
次にバランスを崩さないようにすることである。漢方では体のバランスの崩れ、それが病気だと言っている。例えばストレスを感じると、自律神経の交感神経が昂進して、体調を崩してしまう。逆にもう一つの副交感神経が昂進する状態の時も、これもまた好ましくない、この二つの神経が拮抗して、バランスを保っているときが健全な姿なのである。
精神状態ばかりでなく、筋肉や骨格のバランス、体液の酸性とアルカリ性のバランス、摂取する栄養素のバランスなど重要な要素はいくつもあるから、すべて配慮する必要がある。
(4)原則その4・・・自然の理に適っている事。
人間は何千何万年の間、自然界の中で生き抜いてきた関係から、厳しい自然環境に適応して、体が作られている。いくら文明や科学が発達したとはいえ、自然界の摂理からかい離したことを続ければ、必ず体の摂理も狂ってしまうのである。
農耕民族で温帯地方に住み、米を主食にして、野菜や魚を常食して作られた身土不二の体質がある。にも拘らず、戦後の高脂肪、高蛋白の肉や乳製品を中心とした高カロリーの欧米食は日本人の体質に合わないから、ガンをはじめ生活習慣病やアレルギー疾患を発生させて、いまだ留まる気配はない。
もうひとつ大事なことは、自然界の野生の四足の哺乳動物と人間の大きな違いは、何かといえば、人間は衣服を着ている、火食している、運動不足である、自然界にない化学加工の食品を食している、精製されたり、エキス化されたものを食べている、化学加工の汚染物質を体に取り込んでいる、保健治療薬を飲んでいる、二本足で歩くなどである。これ等はみな本来体に備わっている生命維持機能や摂理を狂わすものばかりである。
これ等の中でも自然の理に適うためには、「生きたものは生きたものに養われる」というのが生物界の大原則である。火食ばかりでなく、火を通さない生の食物と生水を摂取しないと生命力の衰えが早いのである。
(5) 原則その5・・・重点的で、効率を考えること
あれが良い、これが良いと振り回されないためには、それが上述した四つの原則に照らすと、どういう位置づけにあるのか、更に体に及ぼす効果が高いのか、低いのかという事を見極めることが必要である。些末なことをいくら続けていても、ピント外れのことをいくら続けていても労多くして効果なしでは、救われない。逆に健康を害することになることもある。
重点的にやれ!と言われても、健康法に関する知識を持たない人は困惑するだけだと思う。
「無知は死を招く」という言葉がある。冒頭で書いたように、長寿を全うするために最低限の健康知識を持っていないと、生き延びられない時代であるという事を認識してほしい。
こういう類の人たちは、何かあれば医者へ行けばよいの一点張りである。無知だから医者に治してもらう病気と、自分で治す病気があることを知らない。選択肢がないのは無策に等しい。
(6)原則その6・・・悪事は良事を駆逐すること
いくら体に良いことを毎日せっせと実行していても、一方では体に悪いことを平気でやっている人が多い。例えば酒、たばこ、甘いもの、肉食、食品添加物、大食、運動不足、肥満、便秘、ストレスなどを止めたり、解消しない限り、これら悪しき事に足を引っ張られて、せっかくの良い事も生かされず、健康にはなれないことを肝に銘じてほしい。
4、まとめ
(1)何が必要かを知ろうとしない、全体を見渡せてない、気づきの精神がない、軌道
修正ができないような人達は、まず健康に立ち向かうスタンスから見直すことが
必要なのである。
(2)自然界で生かされている事に感謝する気持ちを持つ。命を繋いでくれる食べ物は
何かを知り、ひと時の口福に酔いしれ、体を苛めるような傲慢な姿勢を改めない
と健幸はない。
おわり