紫外線が気になる季節、毎日の食事で意識したい栄養素のひとつがビタミンCです。美肌や免疫ケアだけでなく、体の中でさまざまな働きを支えるビタミンCの効果的な摂り方や、普段の食生活で気をつけたいポイントを解説します。
1.ビタミンCの働き
ビタミンCは、体内で抗酸化作用を発揮し、細胞を守る働きがあります。また、コレステロールの代謝やコラーゲンの合成にも関わるほか、皮膚や粘膜の健康維持にとっても欠かせない栄養素です。
さらに、ストレスに対抗するホルモンの合成にも関わっているため、毎日の健康づくりのためにしっかり摂りたいビタミンです。
2.ビタミンCの必要量は?
成人男女が健康を保つために必要なビタミンCの目安は、1日あたり100mgとされています。ただし、この量は壊血病を防ぐ最低限の量です。実際には、1日500〜1,000mg程度摂取することで、体内のビタミンCを十分に保てると考えられています。
ビタミンCは水溶性のため、摂りすぎても尿として排出され、体にたまる心配はありませんが、1,000mg以上摂ると吸収率が約50%以下になり、排泄量が増えるとされていますので、最大で1,000㎎までにすると良いでしょう。
現代はストレスや睡眠不足、寒暖差、騒音など、日々の生活の中で知らず知らずのうちに多くのビタミンCを消耗しています。ストレスがかかると、アドレナリンというホルモンの合成にビタミンCが多く使われるため、体内のビタミンCが不足しがちになるのです。体には約1,500mgのビタミンCの貯えがありますが、ストレスが多いと消費も激しくなるため、こまめな補給が大切です。
3.ビタミンC摂取の3つのポイント
ビタミンCは一度にたくさん摂るよりも、毎日こまめに補給することが大切です。ビタミンCの効果を十分に発揮させるためのポイントを3つご紹介します。
①食事と一緒にとる
血中のビタミンC濃度を高い水準で維持するためには、こまめに摂るのがポイントです。
ビタミンCは空腹時に摂ると、すぐに吸収し排出されてしまいます。食事と一緒に摂ることで、ゆっくりと体内に吸収されやすくなり、ビタミンCの吸収が持続するため、効率よく体内に取り込むことができます。
②ホルモン分泌に合わせて就寝前にも摂取
コラーゲンの合成は、成長ホルモンの分泌が活発になる就寝後1〜2時間の間に進みます。そのため、寝る前にビタミンCを補給しておくことで、肌や体の修復にも役立ちます。
また、ストレスに対抗するホルモン「コルチゾール」は起床時に最も多く分泌されるため、寝る前のビタミンC補給によって、体をストレスから守る働きも期待できます。寝る直前の食事は睡眠の質を下げてしまうため、お茶などビタミンCを含む飲み物での補給がおすすめです。
③過剰摂取に注意する
ビタミンCは過剰に摂取しても、消化管からの吸収率が下がり、余分な分は尿として排出されるため、健康への悪影響は少ないとされています。
ただし、サプリメントなどで一度に大量にビタミンCを摂ると、ビタミンCが胃酸と反応して胃粘膜を刺激するため、吐き気や下痢、腹痛を引き起こすことがあるため注意しましょう。野菜や果物、お茶など普段の食事から摂る範囲であれば、過剰摂取の心配はありません。
4.ビタミンCを無駄なく摂る調理のコツ
ビタミンCは水溶性で熱に弱いため、野菜や果物は新鮮な状態で手早く水洗いし、生のまま食べるのが最も効率的です。ただし、油で炒める場合はビタミンCの損失はほとんどありませんので、炒め物もおすすめです。油の摂り過ぎには注意しましょう。
一方、茹でるとビタミンCは湯に溶け出してしまい、減少してしまいます。煮物や蒸し料理では、煮汁ごと食べる工夫をすると損失を防げます。例えば、ブロッコリーは水で茹でるとビタミンCの残存率が44%と半分以下になってしまいますが、無水鍋で蒸し焼きにしたり電子レンジで加熱したりすることで、90%以上のビタミンCを残すことができます。
5.まとめ
ビタミンCの必要量は一般的に1日100mgですが、実際には、1日500〜1,000mg程度摂取することで、体内のビタミンCを十分に保てると考えられています。毎食後や就寝前にビタミンCを補給するほか、加熱調理の工夫もしながら、効果的にビタミンCを補給しましょう。
【参考】
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
日本老年医学会雑誌第53巻第3号「ビタミンCの抗老化作用について」
大阪市立環境科学研究所「無水調理によるブロッコリーのミネラル・ビタミンの変動」