食後に眠気やだるさを感じることはありませんか?それは「血糖値スパイク」が関係しているかもしれません。血糖値スパイクを防ぐことで、午後のパフォーマンスを維持し、日中のエネルギーをしっかりと確保できます。今回は、血糖値スパイクの原因と対策について詳しく解説します。
食後に眠気やだるさが起こる原因は?
食後の眠気の大きな要因は血糖値の変動です。血糖値とは血液中のブドウ糖(グルコース)の濃度のことで、食事によって変動します。通常、血糖値は食後に一時的に上がり、インスリンの働きで正常値に戻ります。
しかし、血糖値が急激に上昇し、その後急降下するケースがあります。この血糖値の急激な変動は「血糖値スパイク(グルコーススパイク)」と呼ばれ、食後の眠気やだるさの原因となります。特に、ご飯やパンなどの炭水化物中心の食事を摂ることが多いと、血糖値スパイクが起こりやすくなると考えられています。
血糖値スパイクを放っておけない理由
血糖値スパイクは健康診断の空腹時血糖値には現れにくいため、気づかないうちに起こっている可能性があります。この状態を放置すると、以下のような症状が現れることがあります。
- 食後の眠気やだるさ
- イライラや集中力の低下
- 空腹感がすぐに訪れる
- 慢性的な疲労感
さらに、血糖値の急上昇と急降下を繰り返すことで血管が傷つき、動脈硬化を引き起こしやすくなります。これが進行すると、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まるため、日頃から意識して血糖値を安定させることが大切です。
血糖値を安定させる5つのポイント
血糖値を安定させることで、食後も元気よく過ごすことができます。血糖値のために心がけたい食事や生活習慣をご紹介します。
① 食べる順番を意識して野菜から食べる
「野菜→たんぱく質→主食」の順番で食べることで、糖質の吸収が緩やかになり、血糖値の急上昇を防ぐことができます。さらに、酢やレモン汁などの酸味のある食品を加えることで、血糖値の上昇がより穏やかになります。
野菜のほかにも、もずくやわかめなどの海藻類に含まれる水溶性食物繊維は糖の吸収を遅らせる働きがあるため、食事に取り入れるとよいでしょう。
② 低GI食品を選ぶ
GI(グリセミックインデックス)は食品が血糖値に与える影響を数値化したものです。GIが高い食品は急激に血糖値を上昇させ、インスリンの分泌を過剰に促します。一方、GIが低い食品は血糖値の上昇が緩やかで、糖の吸収が穏やかに進みます。
低GI食品としては、精製されていない穀物、食物繊維が豊富な野菜、豆類などが挙げられます。白米より玄米やそばを選ぶことで、血糖値の上昇が緩やかになります。
③ 血糖値の上昇が緩やかな甘味料を選ぶ
砂糖やはちみつは血糖値を急上昇させます。代わりに天然由来の甘味料であるステビアや羅漢果(らかんか)、消化吸収されにくいオリゴ糖や還元麦芽糖水飴を使用すると、血糖値の急上昇を抑えられます。
アスパルテームやアセスルファムK、スクラロースなどの人工甘味料は血糖値を上げませんが、強い甘味があり、甘味に対する感覚を鈍麻させて甘いものを過剰摂取するリスクがあるため、使用には注意が必要です。
④ 食後に適度な運動を取り入れる
食後15分後に15分間の軽い運動を行うことで、血糖値の上昇を抑えることができます。数分程度の軽いスクワットでも効果が期待できるので、食後の運動を習慣にしてみましょう。
⑤ 1日7~8時間の睡眠を確保する
睡眠不足が続くと、インスリンの分泌をサポートするメラトニンの減少や、食欲をコントロールするホルモンのバランスが崩れ、過食につながることがあります。質の良い睡眠を確保することも血糖値対策の一環として重要です。
まとめ
血糖値スパイクは食後の眠気やだるさを引き起こし、長期的には健康リスクも伴います。食べる順番の工夫や低GI食品の選択、適度な運動、良質な睡眠を心がけることで、血糖値を安定させ、午後からもエネルギッシュに過ごせます。毎日の食習慣を少し見直すだけで、大きな健康メリットを得られるので、ぜひ今日から実践してみてください。
参考
立命館大学「食後の血糖値は運動で下がる。でもどれくらいの運動が最適なの?」
広島工業大学「食後に高くなった血糖値を速やかに下げるには、軽度の運動が効果的」
「糖代謝における睡眠の重要性」
「食品の摂取順序が食後血糖値および中性脂肪値に及ぼす影響(ドレッシングによる違いについて)」
北海道科学大学「GI値とは?食品のGI値や体に与える影響をわかりやすく解説」
「食酢の食後血糖上昇抑制効果」
独立行政法人農畜産業振興機構「サラダファーストを実証~野菜をサラダで食べることの魅力~」