花粉症は春先に多くの人々を悩ませる症状です。そんな中、不快な花粉症を和らげる方法として、腸内環境を整える「腸活」が注目されています。
腸内環境を改善するためには、腸にとって良い食べ物を食べることはもちろん、腸にとって悪影響となる食べ物を控えることも大切です。そこで本記事では、腸活による花粉症対策と、腸を整えるための食事について詳しく解説します。
1.花粉症と腸内環境
花粉症とは、免疫システムが崩れて、本来は身体にとって害のない花粉に対して過剰に反応し、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどの症状を引き起こすアレルギー疾患です。
腸は免疫細胞の約70%が存在する重要な場所であり、腸内環境のバランスが免疫機能に大きな影響を与えます。そのため腸内環境が乱れると、免疫システムのバランスも崩れてアレルギー症状が悪化する可能性があります。
2.腸内環境を整える食べ物
腸内環境を整えることは、免疫力の向上や健康維持にもつながります。腸内の善玉菌を増やすために、積極的にとりたい食べ物をご紹介します。
①発酵食品
発酵食品には乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が豊富に含まれており、腸内環境の改善に役立ちます。善玉菌は腸内フローラのバランスを整え、腸のバリア機能を強化し、免疫システムの正常化をサポートします。納豆やみそ、ぬか漬けなど伝統的な日本の発酵食品は日常的に取り入れやすく、腸活に最適です。
②オリゴ糖
オリゴ糖は腸内の善玉菌のエサとなり、腸内フローラのバランス維持に役立ちます。 さらにオリゴ糖は消化されにくいため、大腸まで届いてビフィズ菌などの善玉菌の増殖を助けます。大豆や玉ねぎ、ごぼう、はちみつなどにオリゴ糖が含まれており、善玉菌が豊富な発酵食品などと一緒にとると効果的です。
③食物繊維
食物繊維は腸の善玉菌の増殖を助け、腸のバリア機能を強化できます。果物や海藻類に含まれる水溶性食物繊維と、野菜類や豆類に含まれる不溶性食物繊維をバランスよくとりましょう。白米を玄米に置き換えることで、無理なく食物繊維を摂取できます。
3.腸内環境を守るために控えたい5つの食べ物
腸内環境を整えるためには、腸に良い食べ物をとるだけではなく、腸に悪い食べ物を控えることも大切です。腸のために控えたい食べ物をご紹介します。
①白砂糖
砂糖は腸内の悪玉菌を増やし、腸内環境のバランスを悪くする原因となります。特に、白砂糖や果糖ブドウ糖液糖(異性化糖)を含む食品は、腸内で悪玉菌やカビ菌のエサとなり、腸内フローラの乱れを起こす可能性があります。さらに、砂糖の摂取量が多いと腸の粘膜が炎症を起こしやすくなり、バリア機能が低下することも考えられます。
清涼飲料水、菓子パン、スナック菓子、加工食品などは、砂糖や異性化糖を多く含みます。そのため、料理には白砂糖の代わりにハチミツやオリゴ糖を選んだり、おやつには自然な甘味の果物などを活用したりすると良いでしょう。
②動物性脂肪やトランス脂肪酸
肉類や乳製品などの動物性脂肪の多い食事では大腸内に悪玉菌が増加し、腸内環境を悪化させる恐れがあります。 また、マーガリンやショートニング、加工食品などに含まれるトランス脂肪酸は、腸の炎症を起こす可能性が指摘されています。
対策として、牛肉や豚肉よりも、青魚(サバ、イワシ、サンマなど)を積極的に摂取するようにしましょう。料理ではバターやラードの代わりに、オリーブオイルや亜麻仁油、えごま油を利用すると良いでしょう。菓子パンや洋菓子などにはマーガリンやショートニングが使われているので、控えるようにします。
③食品添加物
本来自然界になく人工的に作り出されたものの中には、消化が困難な物質が多くあります。加工食品に含まれる乳化剤や人工甘味料などの食品添加物は、腸内細菌叢(腸内フローラ)に影響を与え、腸内環境を乱す可能性が指摘されています。 特に乳化剤は、腸のバリア機能の異常や腸内の炎症を起こす可能性があるといわれています。
そのため、市販のお惣菜や加工食品の摂取を控えたり、原材料表示を確認して添加物の少ない商品を選ぶことが大切です。
④過剰な塩分
体にとって必要な塩分ですが、摂り過ぎると腸内細菌の乱れに繋がることが報告されています。漬物や加工食品(インスタント食品、スナック菓子、レトルト食品)には多くの塩分が含まれているため注意が必要です。塩を選ぶときは、塩分だけではなくマグネシウムなどのミネラルが含まれた天然塩がおすすめです。
⑤グルテン(小麦)
小麦粉に含まれるグルテンは、胃で消化しても残り続け、糊のようにベタベタと腸内に貼りつきます。そのため腸内にグルテンが長く留まり、腸内環境が悪化する可能性があるため注意が必要です。
さらに、小麦製品を多く摂取すると、腸のバリア機能が低下し、免疫系の過剰反応が起こる恐れも指摘されています。 花粉の症状が気になる方は小麦の摂取量を見直してみるのも一つの方法です。
対策として、パン、パスタ、うどんなどの摂取を控えて、代わりに玄米やそば、オートミールなどを活用するほか、小麦を使わないグルテンフリーの商品を選ぶと良いでしょう。
4.まとめ
花粉症の症状を和らげるためには、腸内環境を整える「腸活」が有効です。 腸のバリア機能を強化するために、発酵食品やオリゴ糖、食物繊維を積極的に摂取しましょう。 また、白砂糖やトランス、脂肪酸食品添加物、過剰な塩分、グルテンの摂取を控えることで、腸の負担を減らすことができます。
毎日の食事から腸活を行い、花粉の季節も健やかに過ごしましょう。
参考
全国健康保険協会「”腸活”のススメ」
公益財団法人大牟田医療協会 南大牟田病院「リーキーガット症候群(腸漏れ)」
化学と生物「腸内細菌叢に影響を与える食事因子」
福岡天神内視鏡クリニック「便秘の原因は腸がむくんでいるから?むくみ腸の原因と改善方法を解説」
nature「Salt-responsive gut commensal modulates TH17 axis and disease」