寒さが厳しい冬は、免疫力が低下しやすい季節。さらに、年齢を重ねると免疫細胞の働きが鈍くなってしまいます。そのため、加齢とともに病気にかかりやすくなったと感じてしまう人もいるでしょう。
冬を元気に乗り切るためには、日常生活の中で取り組める免疫力アップの習慣を取り入れ、体を内側から強くすることが大切です。この記事では、免疫力を下げるNG習慣や、免疫を高める具体的なコツをご紹介します。
1.免疫力を下げるNG生活習慣は?
■二度寝や朝寝坊
二度寝や朝寝坊をすると、副交感神経から交感神経への切り替えがうまくできず、免疫のはたらきが鈍ってしまいます。寒くなると、布団が暖かく心地良いですが、暖房などで室内の温度を上げて、起きたらすぐに行動するようにしましょう。
■寝る前のスマートフォン
スマートフォンのブルーライトなどにより交感神経が優位になると、免疫力回復が遅れます。寝る1時間前にはスマートフォンを見ないようにしましょう。
■日中ゴロゴロ過ごす
活動をしないと免疫活動も“不活性化”する恐れがあります。寒いと家の中にこもりがちになりますが、毎日適度な運動を心がけましょう。
■不規則な食事や偏食
食べたり食べなかったりする不規則な食事によって、腸内環境が乱れてしまい健やかな免疫を維持できなくなる可能性があります。忘年会や年末年始は食事が不規則になりがちです。1日3食、バランスよく食べるようにしましょう。
■アルコール
酔いが回ると気づかないうちに体が冷え、免疫力が下がってしまうのです。お酒を飲むとポカポカしますが、数時間後には冷えてしまいます。年末年始はお酒を飲む機会が増えますが、適量にとどめ、暖かくして過ごしましょう。
2.免疫力アップの暮らしのコツ
■運動を「適度に毎日」行う
適度な運動をする回数が多いほど、風邪をひく日が少なく重症度も低いことが分かっています。また、適度な活動は体を温め、免疫が働きやすい環境づくりにも効果的です。
ただし、激しすぎる運動はかえって免疫力を低下させたりバリア機能が下がったりするので注意しましょう。汗を軽くかき、心拍数が少し上がる程度の軽い運動を20分以上継続する程度の運動が理想です。
・早歩きのウォーキング
・ゆっくりとしたジョギング
・自転車走行 など
■タンパク質・発酵食品・ビタミンA・C・Eを毎日食べる
免疫細胞や免疫物質の主な成分はたんぱく質です。免疫細胞は寿命が短いため、たんぱく質が足りないと免疫力が落ちるもとになります。肉や魚、卵、大豆製品、乳製品をしっかり摂りましょう。
体内の抗酸化作用は30代以降低下していきます。そのため、抗酸化作用のあるビタミンA・C・Eを積極的に摂ることで、免疫力アップの助けになります。
また、免疫細胞の60〜70%は腸に集まっているので、腸内環境を整えることは免疫力アップにつながります。
・毎食、手のひらサイズのたんぱく質(肉・魚・卵・大豆製品など)を食べる
・緑黄色野菜や果物、ナッツ類や柿茶などからビタミンA・C・Eをとる
・ヨーグルトや納豆、味噌などの発酵食品やキノコ・海藻など食物繊維を毎食とる
■お腹を温める
体温が低いと免疫細胞の活動も下がってしまいます。お腹を温めることで、リンパ球が増えることが分かっているため、汗をかかない程度に体を温めましょう。
・腹巻きをする
・保温性のある下着をつける
・ノンカフェインの温かいお茶を飲む
■お口のケアを習慣にする
口の中が汚れていると、唾液に含まれるIgAと呼ばれる抗体が上手く働かなくなってしまいます。歯磨きなどの口腔ケアは、インフルエンザへの感染リスクを下げることが明らかになっているので、毎食後と寝る前にしっかりと口腔ケアをしましょう。
・毎食後と寝る前に歯磨きをする
・フロスや歯間ブラシで歯のすき間の汚れを除去
・舌専用のブラシなどで舌の汚れを落とす
■質の良い睡眠をとる
睡眠の質と免疫機能には関連があり、睡眠の質が低い人ほど風邪をひきやすいことが分かっています。また、平日と休日の就寝・起床時間が大きくズレている人ほど不調や睡眠の質が悪化するため、毎日の就寝リズムを整えましょう。
・平日と休日の起床時間を2時間以上ずらさない
・寝る1時間前からはスマートフォンを控える
・寝る1~2時間前に入浴を済ませる
3.まとめ
冬を健康的に過ごすためには、日々の生活習慣が鍵となります。
適度な運動やバランスの取れた食事、質の良い睡眠に加え、口腔ケアや体を温める工夫を習慣化しましょう。
一つ一つの取り組みが免疫力を高め、病気に負けない体を作る助けとなります。寒い季節こそ、心と体のケアを大切にして健やかな日々を送りましょう。
参考
愛知医科大学「高めよう免疫力~身近な日常で出来ること~」
日本歯科医師会「口腔ケアで免疫力アップ」