1.ポリフェノールとは
ポリフェノールは、植物に含まれる色素や苦味の成分です。
植物は、外敵から身を守るためにポリフェノールを作っています。例えば、お茶などに含まれる渋味「タンニン」は、動物がその渋味を嫌うため、植物が身を守る防御物質として働いています。
1990年代に、赤ワインのポリフェノールが心筋梗塞予防に効果があることが発表されて以来、植物に含まれるポリフェノールの健康効果が注目されるようになりました。
自然界には、5,000種類以上ものポリフェノールがあるといわれており、化学構造の違いによって人への健康効果も異なります。例えば、蕎麦に多く含まれるポリフェノール「ルチン」には毛細血管の強化作用が、大豆の「イソフラボン」は女性ホルモンに似た働きなどがあります。
2.柿ポリフェノールの健康効果
柿の葉には柿タンニン、アントシアニン、アストラガリン、イソクエルシトリン、ケルセチン、ケンフェロールなどのポリフェノールが含まれており、さまざまな健康効果が知られています。
①血糖値の上昇を抑制
柿ポリフェノールには、消化管の中で糖質の消化・吸収を抑える働きがあることが分かっています。
②血管を弛緩
奈良県立医科大学の研究によると、柿ポリフェノールには、血管弛緩作用と血管の収縮を抑える作用があり、降圧効果が期待されています。
③炎症を抑制
柿の葉には「アストラガリン」と呼ばれる花粉などの外敵から身を守るポリフェノールが含まれています。
④二日酔いを軽減
近畿大学アグリ技術⾰新研究所の研究によると、柿ポリフェノールには、二日酔いの原因となりDNAを傷つけるアセトアルデヒドを除去することが明らかになっています。
3.冬の健康づくりに柿ポリフェノールがおすすめの理由
柿の葉に含まれるポリフェノールには強い抗菌作用があり、古くから柿の葉すしの包み葉などに活用されてきましたが、近年、ヒトの体調管理にも柿ポリフェノールが注目されています。
広島大学の研究によると、柿ポリフェノールの一種である柿タンニンが体調管理に適していることが分かっています。
研究では、緑茶やコーヒーなどに含まれるタンニンと比較したところ、柿タンニンが最も多様な抗ウイルス作用を持つことが示されたそうです。
体調の不安が高まる冬は、柿ポリフェノールがさまざまな健康づくりに役立つことが期待されています。
詳しくはこちら
広島大学「柿渋の強力な抗ウイルス作用を証明」
4.まとめ
柿ポリフェノールには血糖値の上昇抑制、血管の弛緩作用、炎症抑制、二日酔いの軽減などさまざまな健康効果が確認されています。
特に、冬の健康管理には柿タンニンが有効で、緑茶やコーヒーと比較しても優れた効果を発揮することが研究により示されています。
ポリフェノールは水に溶けやすいため短時間で作用しますが、効果は長時間持続しないため、毎日こまめにとることが大切です。日々の生活に柿ポリフェノールを取り入れて、効果的に健康づくりを行ってみてはいかがでしょうか。
参考
近畿大学農学部食品栄養学科「柿ポリフェノールの機能性」
奈良県立医科大学「柿ポリフェノールによる血管弛緩作用と血管収縮抑制作用を証明」
近畿大学アグリ技術⾰新研究所「柿ポリフェノールは、アルコール代謝物であるアセトアルデヒドを除去することによりDNA損傷を弱毒化することができる事を明らかにしました」
広島大学「柿渋の強力な抗ウイルス作用を証明」