1.宿便とは
現代医学では「宿便なんか存在しない」と言うのが定説となっている。
腸粘膜は3~4日で入れ替わり、内視鏡で検査しても存在しない、と言う。
そもそも宿便とは何か。
断食療法を40年間、何万人も指導してきた故甲田光雄博士の本によると、
宿便とは、胃腸の処理能力を超えて食べ過ぎ続けて結果、腸管内に渋滞
する排泄内容物なのである。
処理能力を超えて食べ続けると、胃腸が伸びて垂れ下がり、横に広がった
りするが、安定が悪いため、あちこちにへばりついて癒着が起きる。
すると変形したり、細くなったり,ねじれたりする。
そこに食物残渣が引っ掛かり、とおりが悪くなって、宿便として、渋滞する。
更に大食を続けると、腸管が膨らみ、腸壁が薄くなる。直径が二倍になると、
腸壁は厚さは三分の一に薄くなる。その中を通る血管や神経が圧迫されて、
機能が衰えるのは当然である。腸マヒ状態となる。これでは宿便が停滞して
もおかしくはない。
その結果、内容物が腐敗発酵して、インドール、スカトール、フェノール
など有害毒素が発生して、腸壁から吸収され血液の中に入り込み、全身の
細胞に影響を及ぼす。当然腸内環境が悪く、善玉菌が減り、悪玉菌が増える。
これが「宿便が万病の元」と言われる所以である。
2.宿便排泄事例
嘘か真か宿便排泄の事例を、甲田光雄著「あなたの少食が世界を救う」
によって紹介すると、
その1)
H婦人、60歳、150cm、68kgが高血圧、頭痛、ふらつきで
永年悩んでいたが、甲田医院に入院して、70日間のスマシ汁断食を行った。
入院時甲田先生は診察して、あなたはお腹に宿便が溜まっている、と夫人に
伝えると。エ~そんな筈はない。私は10年間玄米食を食べ、1日に2回排便
している。宿便がないと、言い張るので、先生は試しに断食をしてみなさいと
いうことで断食を実行する。その間に毎日驚くばかりの沢山の宿便が排泄された。
甲田先生はH婦人にそれを写真に撮って起きなさいと指示した。
1冊のアルバムが出来た。その後「日本絶食研究会」の例会で出席者に披露した
ところ先生方はびっくりしたという。そしてH婦人の高血圧、頑固な頭痛は治り、
その後いた生野菜食だけの少食を続けていた。
その2)
Tさん、当時中学2年生の娘さんがリュウマチで、お母さんに連れられ
て入院。少食療法と断食療法で大変よくなって退院したが、家に帰って少食が
守れず、又痛みが出た。2回目に入院では、70日間のスマシ汁断食を行った。
その期間中リュウマチの痛みは少しずつ良くなってゆくが、急に痛みが強く
なることが起こった。そんな時は宿便が排泄されるのだった。
そんなことが度々起きると、本人は痛みが強くなると、宿便が出るなと判るよう
になって来たのである。リュウマチは宿便が原因だと解ったのである。
その3)
S氏、男性、58歳、大学教授。高血圧と3糖尿病による網膜症で視力
低下で入院。3週間の断食療法を行う。入院患者には断食と同時に全員に
緩下剤(スイマグ)を朝晩10ccずつ飲むが、そのため平均して1日3回
くらいの排便が毎日あるのだが、それも水様便である。
こうして水だけを飲み続けて、お腹はペチャンコにへこんだ状態だった。
ところが断食16日目に異変が起こった。夜中から数回排便があり、
泥状の便がドンドン出て便器にあふれる位だった。
本人のS氏はびっくり。まだお腹のなかにこんなに便が有ったとは。
以後血圧も下がり視力も回復し、糖尿病も快癒した。
その4)
Tさん、男性、31歳、172cm、74kg、コレステロールがやや高め、
脂肪肝も少し認められる、会社員。
母親がこの健康法の信奉者で息子に健康意識の植え付けるため入院させた。
今迄家で母親に薦められて、スイマグを飲んでおり、便通1日に2回あり、宿便は
ないだろうと、思っていた。ところが断食に入ると出るは出るわ、どんぶり鉢に
5~6杯出たのである。この様に元気な若者でも、宿便を溜めていたのである。
従って一般の人でも長年大食を続けていると宿便を溜めており、どんな病気が
出てもおかしくない。
3.森美智代さんの体験
難病の脊髄小脳変性症を西式甲田療法で治し、現在八尾市で鍼灸院を開いて
いるが、その著書「おうち断食で病気は治る」及び「少食健康法」によると、
宿便には色々あり、ヘドロ状のもの、黒いコルタール状でどぶ臭い匂いを
伴うもの、腸の形がそのまま出て来た様なもの、石の様にころころしたもの、
水にフワフワと浮く藻のようなもの、砂状のもの、などが有る。
宿便が出る時は、体がデトックスモードになっていて、体のあらゆる部分から、
目ヤニ、鼻くそ、フケ、臭い息、汗が噴き出る。それは今まで体に浸み込んで
いた粘膜から、特に脂肪部分に浸透していた水銀、カドミュウム、重金属類、
食品添加物などが出てくる。
4.少食、断食のやり方
これを機に少食、断食に関心のある方は前述の森美智代さんの本が参考になる。
決して素人判断で、勝手に行わないように。
5. 生菜食療法の一例と甲田カーブとは
甲田医院で少食で行っていた生菜食の一例は下記の通り。
また半日断食の少食にすると、段々痩せて行き、相貌が悪くなる。
すると周りの「物知り」があれこれ口を出す。
「そんなことをしていたら栄養失調で死んでしまうぞ」と喧しい。
本人の固い意志もぐらついてしまう。
甲田博士が今までに行った何千人の治験から、少食にすると体重が一旦減っ
てゆくが半年くらいすると徐々に体重が増えて行くから心配不要。
これを甲田カーブという。↓
6.まとめ
1)今一度高脂肪、高蛋白の大食を続けると、行く先に希望が見えるのだろうか。
大食の害、宿便のもたらす疾病の数々を予防するには、少食しかない。
2)毎日食べる食べ物には命がある。人が生きて行けるのは、食べ物の命を
戴いているからである。感謝して食べる気持ちを持とう。
また大食して胃腸をイジメないように。悲鳴を聞く耳を持とう。
これが健康道徳心というもの。テレビでは今日も大食番組を放映している。
モラルも地に落ちた。
おわり