▼【NPO法人健康を考えるつどいブログ】

腸活で長生きしよう By 豊岡倫郎 氏 2024年4月29日

1.腸活とは

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腸内環境を整えて、加齢と共に衰えていくのをいつまでも生き生きとした状態に戻すことを言う。
我々の腸内にはおよそ1000種の細菌が約100兆個も生息していて、腸内細菌叢(腸内フローラ)
と呼ばれている。重さは1~1.5kgほどである。腸内細菌の中には善玉菌、悪玉菌、その中間で
ある日和見菌の3グルくープが存在し、個人差はあるが、割合としては全玉菌2:悪玉菌1:日和見
(ひよりみ)菌7が理想的とされている。日和見菌とは普段は益にも害にもならないが,数が優勢
な方に味方する中間菌と呼ばれ、悪玉菌が増えると自らも害を及ぼすような作用をする菌である。
なお小腸の長さは6~8mで、大腸が1.5mで、腸全体の表面積は約32㎡、これは畳20畳分に
相当する広さである。

2.腸の老化

加齢と共に腸内細菌の構成が変わる。60歳を機に善玉菌が減り始め、反対にウエルシュ菌
などの悪玉菌が増え始める。70歳を過ぎるとどんどん腸内環境が悪くなる。
(下図の光岡知足博士の年齢と共に移り変わる腸内細菌叢模式図参照)

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3.加齢と便秘

生労働省の「2019年国民生活基礎調査」によると、便秘と自覚している人の割合は65歳以上の
女性で72%、65歳以上の男性で64%いる。「便秘は万病のもと」と言われているように、
加齢と共に腸管が弛緩して、蠕動運動も弱くなる。また腸内細菌も悪玉菌が増えて、粘液層も薄く
なり、腸液も減少する。腸の老化が原因である。

4.新しい長生きのための腸活のすすめ

江田 証(江田クリニック院長)著「長生きのための新しい腸活」2024年3月新星出版社発行を基に
新しい腸活をここに紹介する。

80歳を超えても元気な方や長寿の多い地域の方の腸には、これから紹介する5つの長寿菌が多い。
実際に腸の健康そして体の健康を保つ効果がある事が科学的にも判ってきた。

① その1. 酪酸菌

短鎖脂肪酸のひとつで酪酸、酢酸、プロピオン酸の3つで、さまざまな健康効果をもたらす。
長寿の町として知られる京丹後市内には、100歳以上の高齢者が全国平均の約3.1倍もいる。
調査したところ酪酸菌を持っていることが格段に多いことが判った。血管年齢が若く、大腸がんや
糖尿病、認知症、サルコペニア(筋肉減少症)の患者数が少ない。酪酸菌が作る酪酸は悪玉菌の増殖を
抑えて、善玉菌の活動をしやすくする。酪酸菌の代表のラクノスピラ菌は筋肉を付けるのに役立ち、
サルコペニアを予防している。握力が強く、歩行速度が速い事が統計上出ている。更に酪酸菌は腸内
のバリア機能を高め、「腸モレ」を防ぐし、IgAが増えて免疫力を高める、セロトニンの合成を促す
ことが解っている。
まだある、酪酸菌の仲間のロゼブリア菌が動脈硬化を抑える。
では酪酸菌を増やすために、何を食べればよいか。ぬか漬け、ワカメ、ノリ、昆布、ヒジキ、豆腐、
納豆、小豆、エンドウ豆、玄米、モチ麦、ライ麦パン、シイタケナメコ、エノキ、マイタケ、大根、
りんご、ごぼう、キウイ、ニンジン、バナナ等の水溶性食物繊維が酪酸菌の餌となるのでお勧めである。

② その2. アッカーマンシア・ムシニフィラ

世界的に名高い腸内細菌で、主な働きは腸のバリア機能を高めて免疫力をアップさせる。長寿者が多い
地区にはこの菌を持っている人が多い。
ムチンを食べると、腸管の粘膜バリアがスカスカになった状態を改善して、腸もれを防ぐ。
また抗がん剤の効き目を高める。さらにアンチエイジングに効果、難病、ALS(筋委縮性側索硬化症)の
予防も期待される。
この菌を増やすには、納豆、オクラ、ナメコ、ぶどう、ブルーベリー、イチゴ、りんごの摂取ガおすすめ。

③ その3. フェカリバクテリウム・プラウスニッツィ

この菌の主な作用は炎症を抑える作用と基礎代謝を上げる効果がある。腸の老化を食い止める。
この菌を増やすには、ワカメ、昆布、ヒジキ、モズク、ゴボウ、玉ねぎ、トマト、バナナ、スイカがおすすめ。

④ その4. 乳酸菌

アンチエイジング、皮膚を若く保つ、病原菌やカビから体を守る。骨粗しょう症の予防などの効果がある。
乳酸菌の一種のラブレ菌はすぐき漬けから発見された菌で、悪玉菌を抑え、免疫力を強化する働きがある。
なお乳酸菌にはヨーグルトなどの乳製品を食べている人もいるが、日本人の75%hは「乳糖不耐症」
といって、乳糖を消化できない。その結果下痢やガスに悩まされるので
摂らない方が良い。
この菌を増やすには、糠漬け,すぐき漬け、豆乳ヨーグルト、みそ、しょうゆ、ヨーグルト、チーズが
おすすめ。

⑤ その5. ビフィズス菌

日本人の大腸にいる善玉菌の大半はビフィズス菌で、その数は乳酸菌の約100倍という。
ビフィズス菌はエサである糖を分解し、乳酸や酢酸を作り出して、悪玉菌の増殖を抑える、
大腸の働きを活発にして便通を改善する、免疫力を上げる。認知機能を改善する、アンチエイジングに
働くなど、百寿者の腸内にはビフィズス菌が多いことが判った。

この菌を増やすには、菌のエサなるオリゴ糖と食物繊維を摂る。バナナ、ゴボウ、玉ねぎ、アスパラ、
ブロッコリー、ネギ、ミカン、切り干し大根、干しシイタケ、オクラ、ジャガイモ、サツマイモなどおすすめ。

5.SIBO(シーボ)の人とは

SIBOとは大腸にいる菌が小腸に逆流したり、口の中にいる細菌が小腸で停滞して小腸の中で爆発的に
増殖してしまう「小腸内細菌増殖症」のこと。この病気に罹ると小腸にガスが溜まり炎症や腸モレを起こして、
便秘や下痢、疲労感、頭がボーッとする症状、過敏性腸症候群になったりする。

そもそも腸内細菌は大腸の中に生息しており、大腸約100兆個にたいして、小腸は約1万個と、圧倒的に
少ないのが正常。こんな人が上述した食品を摂取すると、おなかの不調を招くから要注意。

 
6.まとめ

1)腸内細菌を増やすには二通りの方法があり、今回紹介した5つのご長寿菌の内、菌のエサとなるものを
摂取して増やすやり方はプレバイオチィクスと呼ぶ。もう一つは菌そのものを腸に送り届けるのは、
プロバイオチィクスと呼んでいる。短鎖脂肪酸の酪酸菌を増やすのは前者に相当する。百寿者は皆日頃、
腸にやさしい、良いものを手づくりして食べているから長生きするのである。

2)留意点は腸内環境を悪くするものを食べない事が肝要である。即ち甘いもの、肉、食品添加物の
入った人工甘味料、乳化剤、保存料、PH調整剤、増粘剤などは極力避ける。アルコール。大食。
ストレス、運動不足、睡眠不足もいけない。加工食品、レトルト食品、インスタント商品は避ける。
やはり欧米食でなく手作りの日本食が一番良い。甘いお菓子は悪玉菌が喜ぶ。

おわり

まずはおためし

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