1. 病気には必ず原因がある
腰痛の人が3000万人、膝痛の人が2530万人もいるという。もう国民病と言われている。
しかし前回解説したように、発症には日頃の姿勢の悪さや運動不足、肥満、悪食など色々指摘されている。
これらはみな自らの生活習慣の間違いに起因している。従って対策も先ず自分でできる対策は何であろうか。
2. 自分でできる対策
1) 西式健康法には足首の炎症解消、歪みの矯正法として、足首上下運動、扇形運動がある。
更に背骨の歪みの矯正には金魚運動、股関節の矯正には合掌合蹠法を行う。板の上に寝て首には木枕をする。
金魚運動 合掌合蹠法 木枕
詳細は西式健康法の本やインターネットで検索ください。
2) ヨガや自彊術には全身の整体法として、下図の様な動作を薦めている。
詳細はヨガや自彊術の本やインターネットで検索ください。
特にお薦めなのは自彊術体操である。約15分間で31の動作を行うが、この体操の特徴は
●有酸素運動である。
●必要な筋力を強化する。
●骨格を矯正する。
●自律神経を整える。
●体液を弱アルカリ性に整える。
●ストレスを解消する。
●経絡、ツボを刺激して、気の流れを良くする。
●血液循環が良くなる。
●筋肉や骨格を左右、上下、前後と三次元方向にほぐす動作と捻じる動作がある。
3)インナーマッスルの強化
インナーマッスルとは体の内部にある筋肉群のことで、骨盤の周辺にある大腰筋、腸腰筋、腸骨筋をまとめて、腸腰筋と呼んでいる。この筋肉が次の図のように、
腰椎から、腸骨、大腿骨に繋がっていて、腰全体を支えている。ところがこの筋肉が衰えてゆくと、周辺の骨格のバランスを崩し、歪んだり、傾きの原因となる。また消化吸収能力も低下し、つまずいて転ぶ原因にもなる。肩周辺のインナーマッスルには棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋があり、これらインナーマッスルの退化を防ぐには自彊術体操をするとよい。
4)その他の対策
宮川真人著「誰も書かなかった整体学」彩図社発行、によれば、
●人の動きには5種類あり、腰椎1番は反り、2番は側屈、3番は捻じり、4番は開脚、
5番は前屈の動きと関係している。
●特に腰椎の4番と5番が体のあらゆる動作の土台となっているから、ここの動きが
硬直していると、上肢にも、下肢にも影響を及ぼしてゆく。下肢では仙骨関節、
股関節、膝関節、足の踝、親指まで波及してゆく。
上肢では腰椎の4番と5番の硬直が肋骨を下げ、胸椎の10~12番に負担をかけて、
硬直すると、肩甲骨や後頭部の硬直へと影響を及ぼしてゆく。
●胸椎の10~12番の硬直は前述の5種類の動きが制限されることによって、膝に負担
がかかってくる。
膝の痛みの原因には腰椎の4番と5番の硬直、腸骨支持点の硬直、胸椎の10~12
番の硬直、股関節の硬直が絡んで起きる。
●上述した道筋の最終地点は下では足の親指に、上では歯、顎関節、耳に到達する。
●食べ過ぎ、飲み過ぎの人は腰が硬直している、即ち腰椎の4番と5番の硬直で、
腰に力が入らなくなる為、それをカバーしようとして、今度は背中がパンパンに
なる。足の親指もパンパンになる。
以上が宮川真人著「誰も書かなかった整体学」からいくつか抜粋した説である。
●甲田光雄著「背骨のゆがみは万病のもと」という本には、足首に故障のある人は、
風邪に弱い。
食べ過ぎ、特に甘いものがいけない、お酒の飲み過ぎも足首を悪くする、と書いて
ある。
3.まとめ
1)普通痛みの原因は腰や膝の関節周辺の物理的な変形や歪みなどとして捉えられているが、それだけではなさそうである。例えば肝臓、胆のう、胃、十二指腸、腸、膵臓、腎臓、尿管など腰周辺の内臓の疾患が腰痛の誘因となっていたり、ストレスによって起きているものも多いと云われている。これでは何が直接原因か副次的原因かを特定するのも困難である。従って対処療法では解決されない。
何しろ体には約200の骨、約400個の関節、約400の筋肉があり、それらは有機的に繋がっている。そもそもの痛みの震源地は腰椎の4番、5番説、仙腸関節の歪み説、股関節の歪み説が有力で、そこから全身に影響が波及していくという。
2)局所的にみると、前かがみになると痛いタイプは筋筋膜性腰痛、椎間板症、ヘルニアで、体を反らすと、痛いタイプは、腰椎分離症、腰椎すべり症、脊椎管狭窄症などであるという。
3)大局的にみれば、日ごろの生活習慣での不自然な態度に、食生活も含み、問題があるとみるべきではなかろうか。即ち生活習慣病である。
4)肥満の人は腰が痛くて、困っているというが、足の親指や踝が痛いことないでしょうか。まさか大食が根本原因であると、誰も気が付いていないのではなかろうか。
5)「百聞は一験に如かず」である。私は25年間自彊術体操を続けているが、人に薦めても、誰も実行しない。体験もしないで、出来ない言い訳ばかりする。それではその良さは解らない。今一度食と体操について、見直す機会である。「座して死を待つ」ことの無きように。
おわり