1.飽食時代の栄養の偏り
飽食の現代において、偏った食生活によって、ビタミンやミネラルが不足しているために、いろんな病気が発症していると言われ出した。これを機会に我々の日常の食生活において反省し、改善すべきことは何だろうか。
2.体に必要な栄養素とは
体に必要な7大栄養素といえば、炭水化物、脂肪、タンパク質、ビタミン、ミネラル、酵素、食物繊維が食生活には欠かせない。その中でも今まで軽視されがちだったビタミン、ミネラルの重要な働きを再認識して、不足を補い、健康維持に役立てたい。
3.ビタミン、ミネラルとは
ビタミンはエネルギー源や体を作る成分ではないが、体の生理機能を調節してくれる有機化合物のことで、13種類ある。またミネラルは食物の消化、吸収、老廃物の排泄、エネルギー生産などの生命活動を助けている無機質成分のことである。16種類あり、これらのほとんどが体内では作れないので、食べ物から摂取しなければならない。厚労省はこれらの摂取基準量を定めている位重要な栄養素なのである。我々が一般常識として知っているのは、ビタミンAの不足で夜盲症、ビタミンB1の不足で脚気、ビタミンCの不足で壊血病、カルシュウムの不足で骨粗しょう症、鉄分の不足で貧血などであるが、それ以外のものも皆大切な働きを持っているから、不足させてはいけない。
4.摂取不足が指摘されている主なビタミン、ミネラルの働き
1.ビタミンC・・・抗酸化作用、コラーゲンの生成、免疫力強化、コレステロール低下、血管の強化、ミネラルの吸収向上など。
2.ビタミンB1・・・成長促進、糖のエネルギー化、食欲増進、
3.ビタミンD・・・カルシュウムの吸収促進し骨の発育、免疫力強化、腸の上皮強化
4.ビタミンE・・・過酸化脂質の発生を抑え、老化・ガン・動脈硬化防止,血行促進
5.カルシュウム・・・骨の発育、酸性血液の中和、心臓の収縮リズムの調整、精神安定
6.マグネシュウム・・・酵素の働き活発化、骨の生成、筋力低下や糖尿予防、脳神経安定、血流促進、脂肪代謝、カルシュウムの沈着防止
7.カリュウム・・・細胞内水分調整、心臓リズム調整、筋肉の収縮、血圧調整
8.亜鉛・・・インスリン・酵素の生成、男性生殖機能、細胞の生成、味覚機能、免疫機能向上、コラーゲン生成
9.セレン・・・抗酸化作用、老化防止、血管の強化、精子生成、重金属の解毒
10.クロム・・・新陳代謝促進、糖尿・高血圧抑制
11.ヨード・・・甲状腺の機能正常化、子供の肉体的、精神的発育機能
12.マンガン・・・骨の発達、生殖機能、炭水化物や脂肪の代謝、筋無力症やパーキンソン氏病などの神経伝達異常抑制。
13.微量ミネラル・・・ミネラルは必要摂取量が微量でも、摂取不足が続くと、酵素の活性が弱り、自然治癒力や免疫力の低下を招いて、色々体の不調の原因となっていても、不慣れな医者も多く、診断が難しく、治療の盲点となっているという。
5.ビタミン、ミネラルの複合相乗効果
アメリカのロジャー・ウイリアムス博士は「生命の鎖」の理論を発表している。即ちビタミン、ミネラルは、相互に関連していて鎖のようにバランスよく形成されて、繋がっていないと、健全に生命活動を維持できないとした。
例えば亜鉛はビタミンA、マグネシュウムはビタミンB群、カルシュウムはビタミンC、セレンはビタミンEとの相合作用で効果が出る。
更に「ミネラルバランス説」を唱えたのは、ドイツのリービッヒ博士である。即ちミネラルは身体の中でそれぞれの相互関係によって成り立っていると云う。例えばカリュウムが必要量より不足すれば、他のミネラル量も不足したカリュウム量に合わされてしまうから、各種バランスよく摂らねばならないとした。
今では食生活におけるミネラルバランスの理想比というものがあり、リンとカルシュウムは1対1、カルシュウムとマグネシュウムは2対1、ナトリュウムとカリュウムは1対1、亜鉛と銅は8対1が理想的であるという。
6.ビタミンやミネラルを減らす誤った行為とは体に良いと思って摂取したビタミンやミネラルを無駄に消耗させたり、効果を減少させることが起きないよう、日常生活で注意すべきことは、例えば。
- 砂糖の摂り過ぎはビタミンB1を消耗させる。カルシュウムも減少させる。
- ストレスを受けると、マグネシュウム、ビタミンCを失う。
- 大汗をかくと、ナトリュウム、ビタミンC、マグネシュウム、鉄分を失う。
- 飲酒によって、肝臓が疲弊すると、ビタミンDの活性衰え、骨の生成低下。活性酸素が発生し、ビタミンCやEの効果低下、亜鉛、マグネシュウム、カリュウムが減少。
7.ビタミンやミネラルの摂取方法
具体的に各ビタミン、ミネラル毎の摂取方法を説明する紙面が無いので、概略すると。
- ビタミン、ミネラルが効率よく体内に吸収されるためには、胃腸を丈夫にすることが最優先となる。その為には腸内環境を整えて、吸収を良くし、体操をして内臓全体を鍛える。
- 少食精栄主義で少食だが必要なビタミンやミネラルが豊富な食品を摂取する。玄米、そば、緑黄色野菜、大豆や小豆製品、根菜類、ワカメ、昆布、ひじきなど海藻類、ゴマ、小魚、牡蠣、シジミ、あさりなど魚介類、果物類など。
- 食べ方としては、新鮮な季節の旬のもの、生野菜ジュースなど加熱しないもの、一物全体食、出来れば無農薬で有機栽培のもの。
- 摂取を控えるべき品目はお酒、甘いお菓子やジュース類、精白した白米、パン、うどん類、インスタント食品、食品添加物の多い加工食品など。また乳製品は日本人には適していない。
8.まとめ
1)百年以上も同じ田畑で米や野菜を栽培していると、化学肥料だけでは地力も弱り、栄養価の低下は免れない。叉ハウス栽培や水耕栽培も露地栽培に比べて栄養価は低下していないのか。
2)これを機に自分の食生活で充分にビタミンやミネラルが摂れているのか反省をして、何が不足し、いかにして補うべきかを考えても損はあるまい。ただ注意点は市販の栄養剤などで過剰摂取すると、害になる栄養素もあるので気を付けたい。
3)食べたものが血となり肉となる。毒にもなり薬にもなる。医食同源とはこの事なり。
おわり